名古屋大学農学部は、非常に活発な国際交流を行っています。最先端の共同研究を行うため、世界各国から一流の研究者が訪問・滞在しています。国際学会への参加や共同研究のために、農学部の教員や学生も世界中の国々を訪れています。また、海外へ留学するための各種奨学金への応募や、海外で行われるスタディツアーなどへの参加も積極的にサポートしています。
さらには、海外の協定校において実地研修を実施し、海外の大学生とともに学ぶ場を提供し、また学生交換プログラムにより、海外からの大学生を受け入れることを通じて、学生が国際的な素養を身につけられることをめざした教育を展開しています。一方、農学部内には、常に40人以上の外国人留学生が滞在し、最先端の農学を学んでいて、今後さらに留学生数を増加させる体制を整えています。このような国際感覚あふれるキャンパスで学ぶことにより、世界を舞台に活躍する人材が数多く輩出されています。
国際交流の一環として、農学部では資源生物科学科3年生を中心に、海外の協定校において「海外実地研修」を実施しています。一方「海外学生受入研修」により、海外からの大学生を農学部に受け入れてともに学びます。このような双方向の交換プログラムの実施を通じて、海外の大学生とともに主体的に学ぶ場を提供し、学生が国際的な素養を身につけることをめざした教育を展開しています。どちらの参加者も、学部専門科目の単位が認定されます。
「海外実地研修」では、東南アジアにおける対照的な2つの国、途上国としてのカンボジアと先進国としてのタイの両国を20数名の学生が訪問し、合わせて約10日間の研修を実施します。 カンボジアは各国からの支援を受けながら急速に復興の進む途上国ですが、このような国の農業を見ることにより、農業そのものの発達ばかりでなく、農業と社会との関わりをつぶさに体験することができます。3年生までの間に学んだ基礎的な知識・概念や「国内実地研修」での経験をもとに、学問を発展途上の農業へどのように生かすのかを考えます。このため、まずタイとカンボジアの歴史や社会、産業に関する事前研修(すべて英語)を受講します。実地研修では、タイのカセサート大学とカンボジア王立農業大学の学部3年生とチームを組み、農村やマーケットなどの見学、タイのナコンパトム郡周辺農家でのホームスティ、カンボジア・タケオ州農村での調査などを実施します。タイとカンボジア訪問の最終日には、それぞれ調査結果のプレゼンテーションを実施します。さらに研修終了後には名古屋大学で事後研修を行い、総括し、農業の原点である開発途上国や熱帯農業の現状への理解を深めていきます。
「海外学生受入研修」では、タイとカンボジアの学部生20数名が名古屋大学を訪問し、名古屋大学の学部3年生20数名とチームを組み、約10日間の研修を実施します。名古屋大学の研究室での農学の基礎研究の体験、先端農業に取り組む愛知県農業試験場の見学、JA愛知など農協組織、農業法人や卸売市場などの愛知県内の各施設での研修を通して、農学の基礎・応用研究から普及、農業生産、販売にいたるプロセスを知り、日本の農学の現状について理解を深めます。最終日には、調査結果のプレゼンテーションを実施します。
「海外実地研修」、「海外学生受入研修」のプログラムにおいて、日本人学生がカセサート大学とカンボジア王立農業大学の学生と、共同で実地調査を立案し、実施し、結果をまとめるためにお互いの意見を述べあうという時間を共有します。お互いに理解を深めながら国際感覚を磨き、今後の学生交流の起点となることをめざしています。
なお、どちらのプログラムも平成23年度、24年度は日本学生支援機構から参加費の補助を受けています。